先日どこだかのブログで目にしたのですが、関東が関西に比べて味が濃いのは徳川家康の政策の結果だと…
それ、先週チコちゃんが言ってましたね(笑)
そのブログ、チコちゃんが言っていたことを全てなぞっているだけで、何らご自分の見解も、チコちゃんの言ったことの裏付けもないまま「垂れ流している」という印象しか受けなかったので、自分なりに考えた関東と関西の味の違いを書いてみます。
まずは味の組み立て。
一般的にはイノシン酸とグルタミン酸の組み合わせで旨味は成り立っていると言われます。
その旨味をベースに塩味である醤油や味噌、塩そのものなどを使って味を組み立てると考えています。
ここに関東と関西の大きな違いがありまして、関東の濃口醤油にはグルタミン酸が含まれているんです。なので、関東の蕎麦やうどんは鰹節と濃口醤油の組み合わせで旨味と塩味を組み立てます。
一方関西では鰹節と昆布で旨味を組み立て、グルタミン酸を含まない薄口醤油で塩味をつけるのです。
では、何故関東では昆布を使わないのかというと、醤油の違いに併せ流通の問題もあったのではないかと…
主産地である北から、大消費地である京都へは日本海を使っていたのだから当然ですね。
また、水の硬さも絡んでいると思います。
素材の違いにも出ますが、関東ローム層が一役買っていて関東の水は関西に比べると硬水なので、各種ミネラルが出汁の味、とりわけグルタミン酸の繊細な風味は引き出しにくいと言われています。
むしろ、そのために濃口醤油が産まれたのではないのでしょうか。
あとは素材の違い。
関東では魚は回遊魚、野菜を作る土壌は関東ローム層。
悪く言えば泥臭い、よく言えば粗野な味。
一方関西(主に京都)は賀茂川や桂川、高野川などの河川に恵まれているため肥沃かつ水捌けの良い土壌。
なおかつ盆地形状の京都では気候的にも寒暖の差がハッキリしているので、野菜そのものが美味い上に、生産者の技術もそこに引っ張られて向上していったと容易に想像できます。
また魚介類は内海である瀬戸内海であることから、脂がのっていると言うよりも、身のしまった淡い味の魚が主流だったのでしょうね。
この素材の差から、関東は醤油を主体とした味付けをし、関西は味の良い素材に風味付けしたという表現が正解なんじゃないかな?
と、思います。
これらは私が家族の食事を提供するために、趣味に毛の生えた野菜作りのために、そして生活を支えてきた魚屋商売を通して得た拙い知識のみの見解で、前述したブログを書いた人と同じく全く裏はとっていません。
が、時系列がムチャクチャな徳川家康の江戸城築城時の食料事情とか、商家の丁稚の食費を浮かせるためとか、後付けの笑い話を真に受けた内容の垂れ流しよりは説得力があるんじゃないかな?(笑)